病院の中庭です。春には一面タンポポの花が咲きます。当医局が「お花畑」状態という意味ではありません。念のため。

2010年9月29日水曜日

ウィリス先生の聴診器

ブログ管理担当者のまさぞうです。

「Dr.ウィリスベッドサイド診断」マニアック情報のその1は、聴診器です。

ウィリス先生御用達の聴診器は、
写真に示したハーヴェイ型トリプルヘッドです。
先生が現役時代に使っていたのは旧型で、
数年前まではまだ売っていましたが、
残念ながら販売終了になってしまい、
現在入手できるのは写真の新型だけです。
(WelchAllyn 聴診器 Harvey トリプルヘッドで
検索すれば見つかると思います。)
旧型はヘッドから2本のチューブが出ていたのですが、
現行型はヘッドにつながるチューブは1本で
(内部が2つに分かれている)、
モダンな外見になっています。
ただ問題は、このタイプだと
「Dr.ウィリスベッドサイド診断」に記載されている(p168rやp293r)、
聴診器の2本のチューブを片方ずつ指でつまんで
片側の音をカットしてやるという技が使いにくいことですが、
大先生はこの聴診器を見るなり、
Y字型に分岐した後のチューブを圧迫すればちゃんとできるよ、
と実演して下さいました。
いや、87才になっても賢い人は賢いですね。

このウィリス先生の聴診器の特徴は2つあります。

1つはその長さです。
大先生の聴診器のチューブは異様に短く、
イヤピースからヘッドの先までで約52cmでした。
ウィリス先生のお話では、
「短ければ短いほどよく聞こえる」
とのことで、確かにその通りです。
ただあまり短すぎると、
女性患者の胸に近づきすぎたり、
昔だと結核をもらう危険性があったりするので、
ある程度の長さにするとのことでした。
写真のものはウィリス先生と同じ長さにするために、
新品のチューブを9cmカットしてあります。
ヘッドを差し込むのに中の仕切りを
小さなハサミでジョキジョキ切りましたが、
うまくいく保証なしに新品を改造するのはちょっと怖かったですね(笑)。
適当にやった仕事のわりには特に問題なく機能しています。

もう1つの特徴はトリプルヘッドです。
通常の膜型、ベル型のほかに、波型の凹凸がついた膜型ヘッドがあります。
この波型ヘッドについてウィリス先生は、
「やせてる人に使う」とおっしゃっていましたが、
メーカーの説明書では、音を増幅する機能があるとのことでした。
確かに血圧計測から心音、呼吸音まで音が強くなる気がします(?)。

ベル型・膜型の使い分けについては、
ベル型を使うのは、3音、4音、
それに僧帽弁狭窄症の拡張中期雑音を聴く時だそうです。

しかしながら同じ聴診器で同じ患者さんの同じ部位を聴診しても、
大先生には聞こえた音が私には聞こえなかったという衝撃的事件(?)もあり、
結局一番大事なのは聴診器ではなく、
その先(医者の頭)だということがよく分かりました。
頑張って勉強します、ハイ。

0 件のコメント:

コメントを投稿