病院の中庭です。春には一面タンポポの花が咲きます。当医局が「お花畑」状態という意味ではありません。念のため。

2011年12月27日火曜日

医局スタッフOより ~ACT-Hと第3回ACT全国研修会~

 北海道にACT(包括型地域生活支援プログラム)を普及させたく、道立緑ヶ丘病院附属音更リハビリテーションセンターにてACTチーム(ACT-H)の活動を推し進めてきました。当センターのACT-Hの活動については今年度いろいろな機会にチームスタッフが発表するとともに、ACT全国ネットワークによるフィデリティ調査を毎年受けています。ACT-Hの活動が北海道の精神医療保健福祉の発展の一助になればと考えています。
平成24年3月17日(土)~18日(日)には第3回ACT全国研修会が宮城県仙台市の東北福祉大学国見キャンパスで開催されます。センターの職員とともに参加予定です。
なお、各地のACTチームについて関心のある方は、ACT-IPSセンターのACTマップをご覧ください。マップに載っているACTチームは毎年フィデリティ調査を受けており、調査結果もみることができます。
ACT-Hは『CSPおとふけ』と旧名称で載っています。

2011年10月29日土曜日

精神科医募集中です

本日高速道路(道東自動車道)が開通し、いよいよ十勝と札幌が高速一本で結ばれます。当院は道東道の音更帯広ICに近く、ますます便利となり、生活しやすい環境となります。そんな当院では引き続き精神科医師を募集中です。
精神保健指定医の取得も可能です(2010年10月の投稿に指定医取得について記載していますので御参照下さい)。
http://midoripsy2010.blogspot.com/2010/10/blog-post.html
見学も可能ですので、興味をもたれた先生、ぜひ当院へご連絡を。

当直明けの医局員S

2011年9月24日土曜日

Dr.ウィリス名医への道

ブログ管理担当のまさぞうです。


今回の「Dr.ウィリスベッドサイド診断」超マニアック情報は、
G.C.ウィリス先生に聞く「臨床技術を向上させる方法」です。


これは数年前、元気な頃の大先生に質問した時の答えを、
一般臨床医向きに改変していただいたものです。


文中、明らかにキリスト教の影響を受けた部分があり、
(というよりキリスト教そのもの)
一般の日本人にはやや抵抗があるかもしれませんが、
大先生は敬虔なクリスチャンで伝道者ですから、
そのあたりはご了承下さい。


ウィリス先生と御家族にあらためて御礼申し上げます。


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[質問]

臨床技術を磨く最良の方法について教えて下さい。

[回答] 


臨床医学では患者の身体(body),こころ(soul),そして魂(spirit)を援助します。

医学の身体面については,すでに医学部で教わっているでしょうが,次にあげるようないくつかの点に注意して下さい。

(a)臨床医は死ぬまで学び続ける必要があり,いつまでも自分が学生であるという姿勢を忘れてはいけません。 


(b)人間は失敗からしか学べません。もし何かがうまくいったとすれば,それはそのことについてすでに知っていたか,あるいは単に幸運に恵まれていたからです。 


(c)失敗したら,謙虚に,そして正直に反省しましょう。どこが悪かったのか?そしてどうすればよかったのか? 


(d)少なくとも患者に害を及ぼすようなことは避けましょう。 


(e)あらゆる治療・処置は,できるだけゆっくりと,かつ必要なだけ素早く行います。(In all therapy go as slowly as possible and as quickly as necessary.)一般に人間の身体は,急激な変化よりも,ゆっくりとした変化に対してずっとうまく順応できるからです。しかし心臓除細動のような命に関わる緊急事態では,もちろん迅速さが必要です。 


(f)American College of PhysiciansのMKSAP(Medical Knowledge Self-assessment Program)に登録しましょう。これは3年ごとに改訂され,セルフアセスメントの試験も含まれています。 


(g)私自身は上述のMKSAPが利用できるようになる以前は,1年ごとにテーマを決めて勉強していました。たとえばある年は循環器分野,次の年は呼吸器分野,その次の年は消化器分野,といった具合です。

こころ(soul)に関しては,人間の身体の中に,知性(mind),感情(emotions),意志(will)といった要素が存在しています。こころは精神科の専門分野ですね。人間の思考(thoughts),愛情(affections),欲望(desires),衝動(drives)は,すべてこころの働きです。そして人間のこころに生命を与えているのが魂(spirit)です。

医師がこころの問題に対処する時には,「人間の創造主である神のマニュアル」である聖書に則ることが必要です。聖書によらないでこころの問題を解決しようとすると,人間は自らの性向に流され、結局自分にとって何となく正しいと思われる答えを選ぶことになります。そしてそうして得た答えが聖書に反している場合、その回答は間違っているものです。旧約聖書の箴言14:12に「人が見て自ら正しいとする道でも,その終わりはついに死に至る道となるものがある」とある通りです。聖書は神の教えであり,それによって私たちは自らの行いが神の道にかなっているかどうかを知ることができます。例えば「死期の近づいた患者さんに,人生の終わりの準備をさせるためにどう話したらいいか」という問題を考えてみましょう。この問題に対する答えは,神の言葉である聖書の中にあります。特にマタイ・マルコ・ルカ・ヨハネの四福音書が役に立つでしょう。聖書の中のこれらの箇所を読めば,神が現世,来世,そして最後の審判について,私たちに示してくれた正しい答えを知ることができるのです。
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なお最近、多数の協力者の皆様のおかげで大先生の検査本
Clinical Laboratory Methods for the Office or Outstation」
のデジタル化が完了しました。ありがとうございました。


できあがったコンピュータファイルは、
「Bedside Medicine」とともに、
ウィリス先生のホームページ
https://sites.google.com/site/virtualclinicofdrgcwillis/
からダウンロードしていただけます。



2011年9月16日金曜日

十勝幕別温泉グランシャリオ華の湯

十勝幕別温泉グランシャリオ華の湯は帯広駅から車で20分位のところにある源泉かけ流しのモール温泉です。 
特に露天風呂の壷湯のぬるぬる感はサイコーです。
十勝平野を見下ろす丘の上にあるので夜景もきれいです。
一度行ってみませんか  K

2011年9月10日土曜日

1/4の奇跡


いまから書くのは山元加津子というある養護学校の先生が講演会で話してくれた雪絵ちゃんの話です。「いちじくりん」http://itijikurin.blog65.fc2.com/というHPにも紹介されています。  

雪絵ちゃんは病弱養護学校の生徒さんで多発性硬化症という神経の難病を持っていました。雪絵ちゃんは12月28日の雪の降ったきれいな朝に生まれ、同じ日に眠るように亡くなった中学生です。

 雪絵ちゃんは運動も感覚も麻痺してしまう大変な病気を持っていたけれど、「私は病気であることを後悔しないよ。この病気である雪絵をそのまま愛しているよ」と口癖のように言っていたそうです。先生が「どうして?」と尋ねると、「だってね、この病気になったからこそ気がつけたことがいっぱいあるの。もしそうでなかったらその素敵なことに気がつけなかったと思うの。気がついている自分が好きだからこれでよかったの」って答えたそうです。「この病気になったからこそ出会えた大好きな人が周りにいっぱいいるし、目や手や足が動かなくなってもこの病気であることを決して後悔しない。病気の自分を丸ごと愛しているんだ」って言ったんだそうです。

その雪絵ちゃんが、言ったことや話してくれたことや書いてくれたことに素敵なことがいっぱいあったので、先生はいつも、病気で動けない雪絵ちゃんから元気や勇気をいっぱいもらっていたそうです。だからそれらを先生は「幸せ気分」という雪絵ちゃんの本にしました。その中にこんな話が書かれています。

 昔、人体ⅢっていうNHKの番組があり、科学者たちからこんな話がありました。
「アフリカのある村でマラリアが大発生して、その村の人がどんどん死んでいきました。しかし、その村は絶滅しませんでした。なぜなら、マラリアにかからない人がいたからです。科学者たちが調べたら、鎌状の赤血球を持っている人はマラリアにかからなかったことがわかりました。さらに、鎌状赤血球を持っている人の兄弟姉妹を調べたら、そのうちの1/4の人は鎌状赤血球も障害も持っていました。2/4の人たちは、鎌状赤血球を持っていて障害はありませんでした。残りの1/4の人は、鎌状赤血球も障害もない人たちでした。」

マラリアが大発生したときに、鎌状赤血球を持っていない人たちは亡くなってしまいますが、この3/4の人は生き残れるというわけです。そして、科学者は言いました。「この村を救ったのは鎌状赤血球を持っていて障害のない2/4の人たちである。けれども、この2/4の人が、ここに存在するためには、この1/4の障害を持っている人たちが存在しなければならなかった。障害を持っている人はいらないんだと思って切り捨てていっていたら、けっして、この2/4の人たちは生まれていなかっただろう。しいていえば、この村を救ったのは、この1/4の障害を持った人である」ということでした。

 「私たちが今、元気に明日に向かって歩いていくことができるのは、過去に、病気や障害を持って、苦しい生活を送ってくれた人がいるおかげである。もしその人がいなかったら、私たちは今ここにいないことでしょう。今、私たちが生きているこの社会にも、障害や病気を背負っている人はたくさんいます。その人達は、未来の私たちの子孫のためにも、私たちが支えていかなければならない大切な人たちなのです」。そのようにこの番組は結んだそうです。

先生が雪絵ちゃんにこの話をしたら「この話、私たちだけが知っていたらもったいないね。たくさんの人が知っていてくれたらいいね」と雪絵ちゃんは言ったそうです。「人は障害があるとかないとか、そんなことじゃなくって、誰もがみんな大切だっていうことも科学的に証明されているって、世界中の人が知っている世界に先生がしていってね」って亡くなる前に雪絵ちゃんは先生に真剣に頼んだそうです。

雪絵ちゃんの真剣な願いをなんとか実現しようと、山元先生はこの話を本やCDや映画(1/4の奇跡)にして全国を周って講演されています。ひとりでも多くの人が雪絵ちゃんの願いを知り、病気や障がいへのマイナスの思いこみのない世の中になってほしいと私も願っています。

2011年8月19日金曜日

早朝ゴルファーH 夏ゴルフ

やっと十勝も30度以下の気温になり、過ごしやすくなりました。北海道の夏ゴルフは涼しいと本州人からは思われがちですが、十勝でも日中は35度近くまでなることがあり、ゴルフ中の熱中症には要注意です。
その点早朝ゴルフは暑さ対策としては最適です。でも私的には7~8月の早朝はあまり好みではありません。ラフは深く、しかも葉が柔らかいのでボールはずっぽり埋まりやすい、日照りが続くと早朝のスプリンクラーシャワーの下で水浴びしながらパットしなければならない破目になる。さらに最大の難敵はアブ、ブヨ、蛾、毛虫、みみずetcの虫の存在です。
雨上がりのグリーンはみみずがうようよ、昨年の夏はマイマイ蛾の大量発生で毛虫がわんさか。俺のパッティングライン上に1匹、2匹、3匹...ガッテム!!今後グリーンを傷つけずに虫をよけるのに小さなほうきを用意しようかと考えています。(でも、ほうきでライン上を掃いたらルール違反かな?)
次に吸血系の虫の攻撃がまた大変。ティーグランドとグリーン上がとにかく虫が多い印象です。グリーン上には虫の柱が立っています。虫たちも朝の涼しい時(20~25度くらい)の方が活動的みたいです。アブについては虫除け剤はほとんど効果なし。ポロシャツの上から背中を刺されます。なぜ人類は猿の体毛を捨ててしまったのか、この時ばかりは恨めしく思います。
8月14日に徳洲会病院のF先生と2人でラウンドしました。自分は白っぽい服装。F先生は黒いパンツ、黒のアンダーシャツに灰色のポロシャツ。圧倒的に彼の方に虫が集中し、自分は虫による集中力低下をきたさずにすみ、パットが絶好調。79の好スコアで回れました。めでたし、めでたし。

2011年8月16日火曜日

来院御礼・見学歓迎・豊作祈願

 残暑お見舞い申し上げます。全国的に猛暑が続いて熱中症の被害も出ており、くれぐれもお気をつけいただきたいと思います。北海道も2年続けて暑い夏となっていますが、今日は秋雨前線の北側に入り、最高気温が25度の予報で、久々に涼しくなりそうです。一足早く秋の気配といったところでしょうか。
 先月は、2名の先生が病院見学に来ていただき、お一人には正式な手続きが整えば今秋から当院で勤務していただけることとなりました。うれしいかぎりです。今後もさらに見学希望のご連絡をいただいておりますが、まだまだ医師募集は継続中で、受け入れは十分可能ですので、見学などご希望の方はお気軽にご一報いただければ幸いです。
 稔りの季節となり、毎年楽しみにしているトウキビ(トウモロコシのことを北海道ではこう呼びます)の直売も始まり、週末には色々な品種を買ってきて味わっています。昔に比べると随分甘みが増して、生でも食べられるものもあるそうです。自宅の庭ではラズベリーの収穫が終わって、ジャムにしました。今年はグーズベリーも豊作で、赤身のものをジャムにしてみましたが、意外に良いできで儲けものをした気分です。これからはブルーベリーが熟する時期になり楽しみです。帰省する娘にほとんど食べられてしまいそうですが。枝豆の実が入ったら茹でてビールを一杯、、、。ということで、私のSirtuin遺伝子は当分目覚めそうもありませんが、その分何とかどこかで節制して楽しみとの両立を目指したいと思います。(T)

2011年8月3日水曜日

医局スタッフOより ~マディソンのACT関係者来訪~

 今年6月米国ウィスコンシン州マディソン市の精神保健福祉の関係者7名が当院のリハビリテーションセンターを訪れました。
 ジョー・大山・ミラーさんらメンバーは帯広マディソン交流会の事業として時折来帯されており、当センターの訪問は2度目となります。
 今回は当センターACT―Hとのミーティング等の交流が図られました。


マディソンはACT(包括型地域生活支援プログラム)の発祥の地です。今もプログラムを検証しながら、マディソンのACTはコミュニティ・プログラムとして活動をし続けています。日本のACTの活動が地域の行政に十分に認められない現状にありますが、メンバーの方々からコミュニティにACTが必要だとの言葉をいただき、大変勇気づけられました。
また、今回の来訪メンバーにはNAMI(全米精神疾患患者家族会)の方もいらっしゃいって、いろいろと話を聞かせていただくことができました。
日本においても家族会の支持のもと行政の理解を得ながらACTが急速に普及するよう取り組んで行かなければという思いを強くしています。

2011年7月23日土曜日

夏休み

ブログ管理担当のまさぞうです。

今年の夏休みは合計9連休(!)で、
家族サービスに海外へ行ってきました。
月並みですが、ハワイです。

以前米国ウィスコンシン州で買ったTシャツを着て、
自分ではうまく日系アメリカ人に化けたつもりだったのですが、
メガネが悪かったのか、
定番のウェストポーチのせいか、
どうも一見して日本人丸出しだったらしく、
みな日本語で話しかけてきます。

ホノルル動物園で珍しく英語で話しかけられたので、
ひそかに「やった!」と思いましたが、
よく聞いてみると、
「オマエハ ニホンノ ドコノチイキカラ キタノカ?」
という質問でした(笑)。

次からはウェストポーチをやめ、
アロハシャツにサングラスでもかけていきましょうかね。

2011年7月21日木曜日

医局員Sの独り言

プロ野球も前半戦が終了し、我が横浜は定位置の最下位に低迷という状況に、さすがに地元の日ハムを応援しようかとも思いますが、これがなかなか変わらんものです。

医局には昨年エアコンがつきました。夏でも北海道の夜は涼しいことが多いので、窓を開けておけば暑さは問題ない日がほとんどですが、医局は網戸をしていても夜間の虫の侵入が多い!(窓の構造上の問題ではあるのですが) 虫嫌いの自分にとっては、夜間当直中に医局で書類整理をすることが多いため、虫は悩みの種でした。しかし今年の夏はエアコンのおかげで、あまり虫に悩まされずにすみそうです。

今年の夏は新幹線大好きな子供を連れて東京に行って、本物の新幹線に乗せることを計画中。

2011年6月25日土曜日

ウィリス先生の聴診器(2)とカナダ訪問記

ブログ管理担当者のまさぞうです。

先日(6月10~11日)、カナダのウィリス先生のお宅に行ってきました。
大先生は私の訪問の2日前にまた脳梗塞の発作を起こされ、
右片麻痺とともに見当識や言語能力に障害が生じていました。
(慢性腎不全もあります。)

現在PCファイル化作業中のウィリス先生の検査本
「Clinical Laboratory Methods for the Office or Outstation」
の原稿を持っていきましたが、
残念ながら病状のため
大先生自らに添削していただくことはかないませんでした。
ただ御子息の総合内科医Dr. G. C. Willis IIIが
シンガポールから帰郷しておられたので、
代わって原稿をみていただきました。

この検査本は原稿の最終チェックとともに
目次・索引をつけ、近日中に協力者の皆さんに配布できる予定です。
御家族の話では、おそらく残された時間は数ヶ月以内だろうとのことです。

あの偉大な臨床家がもうかつての輝きを取り戻すことがないというのは
とても悲しいことですが、
大先生の残されたものをできるだけ正しく後世に伝えていくのが
これからの私たちのつとめなのでしょう。

最近Dr.ウィリスの聴診器のページへのアクセスが増えているようなので、
大先生の聴診器(現物)の写真をのせておきます。

ただ問題は聴診器から先(頭脳)のようです・・・。

2011年6月4日土曜日

ウィリス先生の視野検査装置

ブログ管理者のまさぞうです。

今回の「Dr.ウィリスベッドサイド診断」マニアック情報は、
ウィリス先生の視野検査法です。


これ何かわかりますか?

これはサイズの違うプラスチックの色つきボタンを
釣り糸でつなぎ合わせたものです。

これにまつわる話は、1980年代の舞鶴市民病院へさかのぼります。
実は当時、ウィリス先生と熱血研修医(?)I先生を題材にした
「よい医者作ります」というドキュメンタリー番組が作られました。
その中でいろいろ興味深いエピソードとともに、
ウィリス先生がこの色つきボタンを示して
(大先生のオリジナルは色数3種類です。
「ベッドサイド診断」の口絵と下のカラー写真参照)
「これで肺癌の転移が診断できる」
と解説するシーンがあったのです。

ウィリスファンのまさぞうとしては見逃せない場面であり、
その後機会をとらえて根掘り葉掘り御本人に質問しましたが、
「(ベッドサイド診断の)視野検査の項に書いてあるよ」
と軽く流されて今日に至っています。

ヤブ精神科医の知識と経験では断言はできないものの、
「ベッドサイド診断」18章「神経学的視力障害」の後半、
144~145ページの(5)同名四分半盲~同名半盲の項に
「急性発症の病変の多くは梗塞性であり、
緩徐発症の病変の多くは脳腫瘍である。」
とあるのがこれでしょうか。
その後には色覚異常の話も出ていますし。
(どなたか詳しい先生がおられたら御教示下さい。)

視野検査といえば大がかりな装置と
精密な視野検査表が必要かと思われるのですが、
大先生の方法は驚くほどシンプルです。
オリジナルのボタンセットは白・赤・緑の3色で、
大小2枚ずつ合計6枚です。
(大きさの違う目標を使う診察法は
「ベッドサイド診断」p293「にせの視覚障害」にありますね。)

オリジナルの写真出てきたのでのせます。

私自身は赤・緑ときたので
「これは色盲の検査にも使うんだな」
と思い、さらに黄色や黒も追加して
深度覚測定装置と同じく豪華版にしましたが(笑)、
悲しいことに精神科の臨床では
数年間まったく使う機会がありません(泣)。

こうしてヤブはヤブのまま白髪だけが増えていくのでしょうか・・・。

2011年6月3日金曜日

ぬかびら温泉郷

 当地音更から車で1時間ほどのところにぬかびら温泉郷があります。加水しているところはありますが、循環しているところはなく、温泉郷全体で源泉かけながし宣言を行っています。
 洞窟風呂や川を望める露天風呂などもありますので一度行かれてみてはいかがでしょうか。 K

2011年5月19日木曜日

心の扉

私の人生の転機はいま思えば36歳頃だったと思います。
障がいをもった娘を授かったのが契機となり、研究の道を諦め、自分にとって全く新しい領域である障がいの子どもたちの臨床へと足を踏み入れた時でした。
もともと好奇心旺盛で猪突猛進する性格でしたので、何でも学び体験し実践してみようと、全国の有名な施設や先生を訪ねたり、発達心理学の本を読みあさったり、大学で自閉症療育の指導を受けたりしました。
そんな中で出会ったのが「抱っこ法」でした。その抱っこ法の講習会に娘を連れて初めて参加したのは平成10年の春のことでした。
娘には辛くても泣けずに笑ってしまう特性があり、初めての抱っこの時にも笑ってばかりいてなかなか泣けないでいました。ところが、阿部先生に抱っこしていただくと、先生の「お母さん、助けてなんだね」の一声で、すぐに大声をだして泣き出したのには本当に驚きました。
その後の石田先生と娘の筆談では「お父さんも苦しい、いっぱい苦しい。苦しいけど一緒に頑張ろうね。いつかお母さんも元気が出るよ。待っていようね。信じて待っていようね」と私に書いて伝えてくれ、その真心こもった言葉にただただ嬉しくて涙したものでした。
私が初めての講習会でお母さん4人の膝に抱っこされた時、両親の喧嘩に対して無力でいる幼児期の私のかなしい気持ちが思い起こされ涙が自然に出てしまいました。それが娘の気持ちと同じなのだと気がついた時、自分が父と同じ事を繰り返してしまっている悔しさとわが娘に対する申し訳けなさでいっぱいになりました。
後に受けた退行催眠では、柱の影から両親の喧嘩をみている自分の姿がイメージされ、そのときの自分のかなしい思いや両親それぞれの思いを改めて知ることになったのですが、「子どもは本当に親思いであり、悩み苦しむ親を助けられない自分の無力を嘆くものなのだ」とこれらの経験を通して実感させらました。
その後さまざまな体験を通して少しづつ私の心の歯止めは緩み、感情が自然に出入りするようになり、人前で話をしていてもあるシーンを思い浮かべただけで感情がこみ上げむせこんでしまうようになってきたのです。
そんなあるお母さんの「心の扉を開いてみれば」の一言が、さらに私の半開きの心の扉を開いてくれました。人の心の扉を開かせてあげたい、そんなお母さんの思いに動かされたのでしょう。
人はいっぱい語りたいのです。自分でもよくわからない、言葉にならないことでも語りたいのです。こちらが心の扉を開きさえすれば、いっぱい語ってくれ、言葉にならないことも語ってくれます。そうすると、自分の気持ちも素直な言葉で出てくるのです。
「ありがとう」「すばらしいね」「だいすきだよ」「生まれてきてよかったね」
いつとは知らず、何故かもわからず、誰のせいでもなく、傷つけられる幼い心。そんな心は傷つくことを恐れ、心の扉を閉め、心に歯止めをかけてしまいます。
閉ざした心は自分では気がつかないもの。閉ざした心からは外に何があっても見えないし、聞こえないし、触れないからです。誰かがノックしてあげないと気がつけないし、開け方も、開くタイミングもわかりません。

2011年4月16日土曜日

かっとび中年スキーヤー H

あっという間に’10~’11スキーシーズン終了してしまいました。今シーズンは8回しかスキー場に足を運べませんでした。年々体力と気力の低下は否めません。スキー用の根性は早朝ゴルフでは鍛えきれないものです。
十勝平野のほぼ真ん中に居住し、主だったスキー場までは大体車で1時間かかります。糠平、トマム、サホロと大きなスキー場がそろっています。初心者には嵐山が手ごろで良いですね。でも地震と原発事故で海外客が来シーズンも来てくれるのか地元住民として心配になります。
ホームゲレンデはサホロの第8リフト横です。30度超のコブ、不整地をまっすぐ滑り降りるのが大好きです。お客が少ないのでゲレンデは空いていて、ガンガン飛ばせるし、ゴンドラ・リフトはほとんど待たずに乗り回せます。でも体力が続かない。4時間券を買っても3時間で膝が震えてきてダウンです。これまで右鎖骨骨折(疑い)、右膝靱帯損傷、右足関節靱帯損傷、大腿部肉離れ2回等々の怪我を繰り返していますが懲りることはありません。妻の「年なんだから」という忠告にも耳を貸しません。スキーはいいですよ。ガンガンスピード出して、目一杯突っ込んで、イヤッホーなんて調子で転げまくっています。日常の診療でもゴルフでも無茶するな、落ち着けと自制してばかりで、もやもやは溜まりっぱなし。でもスキー場では切れまくっています。まあそれでも、今シーズンは大きな怪我もなく終了しました。なんとなく突っ込み不足で物足りない?
サホロの頂上から見る広大な十勝平野、糠平の真っ白に凍った湖と東大雪連峰等の景色は素敵です。スキー場帰りに温泉に浸かるのも極楽気分です。糠平は温泉街、サホロの帰りは芽室町の川北温泉とそばがお勧めです。十勝はスキーシーズンとゴルフシーズンの狭間の期間が秋も春も1ヶ月半ぐらいで短いのが良いですね。昔はスキー好きの同僚が代わる代わるいましたが(なぜか本州出身の医師にスキー好きが多い)、この数年は一人で滑りこむことがほとんどです。疲れ果てて温泉に立ち寄ることもできません。スキー&温泉を愛する仲間を求めています。できれば車の運転代行できる人歓迎。

2011年4月11日月曜日

医局スタッフOより~震災派遣

この度、東北関東大震災において被災された方々に心からお見舞いを申し上げます。
今回の地震で多くの方々からメンタルケアの重要性が叫ばれ、精神科医に大きな期待が寄せられています。精神科医にとっては病院という場から離れて地域の中での健康回復とは何かという問題が問われるとともに積極的な関わりが求められていると感じます。
「健康」の定義は、WHO憲章の改定案では
「完全な肉体的(physical)、精神的(mental)Spiritual及び社会的(social)福祉のDynamicな状態であり、単に疾病又は病弱の存在しないことではない。」
"Health is a dynamic state of complete physical, mental, spiritual and social well-being and not merely the absence of disease or infirmity."
と定義されています。
WHOではスピリチュアルに関する議論がいまだに解決されないままになっていますが、現実の場面では今回の被災者の不条理な体験が示しているとおり、健康への回復を望むとしたら、スピリチュアルな問題を無視する訳には行きません。
精神科医は、被災者に対して精神的問題だけに対処するのではなく、スピリチュアルな問題も地域の中でより一層取り扱わないとならない現状にあります。そして、自ら赴き1人でも多くの被災者の存在を認める出会いが求められているように思います。
当院からも東北に心のケアチームまた医療救護班が交替で派遣されています。それぞれ1週間程度の活動でありますが、スピリチュアルという点で何をすべきか考えながら、医療とともに被災者の孤立感をいくらかでも緩和する活動が望まれているように思っています。

2011年3月20日日曜日

大震災のお見舞いと当院の救援体制

 この度の東北関東大震災に被災された地域の方々に心からお見舞いを申し上げます。どうか希望を捨てずに生き抜いていただきたいとただただ願うばかりです。また、救援にご尽力されている方々には、大変過酷な状況であろうとお察しいたします。ご努力に敬意を表し、安全をお祈り申し上げます。
 既に全国の精神科病院から救援の動きが始まっていますが、当院でも北海道を通して被災地で転入院を必要とする児童ならびに成人の精神科患者さんの受け入れについて登録を行い、道内の医療機関、関係機関と連携してローテーションを組んで現地への医師および看護師の派遣体制を整えて、当院からは3月31日に職員が出発する予定です。
 3月11日の地震発生当日、私は東京に出張中で会議の最中に地震が始まりました。会議は中断して解散となりましたが、病院には電話が繋がらず、暫く経ってからなんとか家族にメールが繋がり、それを通じて病院の安否を確認できたのは地震発生から何時間か経ってからでした。当地の震度は4で、船酔いするような揺れが長く続いて、嘔吐する患者さんがいたとのことですが、それ以外には幸いに病院の被害はありませんでした。しかし、十勝地方でも沿岸地域では津波による物損被害が漁業関係等を中心に出ており、また当院にも被災地に身内の方がいられる職員がいて、今後暫く心配が続くものと案じています。
 戦後世代としては過去最大の災害であり国家的な危機というべき状態であろうと思われますが、明けない夜はないと信じて、原発事故の収束と被災地の一日も早い復興、そして被災された方々の回復をお祈りし、微力ながら応援を続けたいを思います。

2011年2月19日土曜日

十勝の気候

この冬は全国的に雪が多く、除雪費が足りない等のニュースも出てますが、当院のある十勝地方では今年はむしろ雪が少ない日々が続いています。今年に限らず、十勝の冬は高気圧に覆われて晴れの日が多いです。もっとも気温は低く、出勤時にマイナス20℃近くになることもありますが、ちゃんと車のエンジンはかかります(去年1度だけバッテリーが弱っていてエンジン始動できず焦ったこともありました・・・)。十勝の前には旭川に数年いましたが、旭川は寒さは似たようなものでも雪が多いので、十勝のほうが生活しやすい印象です。

冬のレジャーも、車で少し走ればスキー場もあります(当院からは高速の音更インターも近く、サホロやトマムへのアクセスも便利です)。

全国の精神科医のみなさん、精神科後期研修を考えている研修医のみなさん、ぜひ当院へご連絡をお待ちしております。精神保健指定医取得できますよ~

2011年1月23日日曜日

ウィリス先生の深度覚測定器

ブログ管理担当者のまさぞうです。


今回はウィリス先生の診断道具の解説の続きです。
皆さん、これ何だか分かりますか?


これは、「Dr.ウィリスベッドサイド診断」の
116ページに出てくる深度覚測定器の実物です。


この写真ではちょっとわかりにくいのですが、
四角い木片の表面を削って、
その中央部に幅2mm、高さ2〜3mmの細長い隆起を残してあります。
(一方の端は完全に平面、もう一方の端が2〜3mm隆起してます)


ウィリス先生はログハウスを自分で建てた経歴の持ち主であり、
この深度覚測定器も木片を削って自作していましたが、
私にはそんな技術も根性もないので、
知り合いの仏壇職人の方にお願いして、
お金を払って作ってもらいました。
(彼は趣味でルアーを自作しているとのことで、
これくらいの工作は朝飯前だったようです。)
その職人さんは塗りが専門だったため、
私の測定器にはウィリス先生のものにはない
塗りが施されており、
一段と高級感あふれる仕上がりです(笑)。


「ベッドサイド診断」には詳しい使い方は書いていないのですが、
この深度覚測定器は深部感覚(位置覚)の検査に使います。
(ビデオには出てますね。)
従来は患者に閉眼させて手足の指などを他動的に屈曲・伸展させ、
その状態を患者に当てさせる、というのが一般的なやり方でしたが、
この測定器(ただの木片ですけど)を使えば
それを定量化できる、というのが大先生の主張です。
つまり平坦な端から何cmいったところで隆起を蝕知できるかで、
深度覚(位置覚)障害の程度を評価できるというのです。


実は「ベッドサイド診断」がバカ売れしたら、
将来時代遅れになるだろう訳注をすべて削除し、
表紙を革張りの豪華本にして、
この深度覚測定器と例のビデオの3点セットにして
定価1万円くらいで2匹目のドジョウを狙うよう
医学書院にすすめようと思っていました。
ところが最近は「ベッドサイド診断」の売れ行きも
頭打ちみたいで(笑)、
野望はかなえられそうもありません。


ちなみに去年末には
ウィリス先生が腎不全と脳梗塞で死にそうな怪情報を流し、
大騒ぎしましたが、
これはヤブ精神科医の診たて違いでした(笑)。
大先生は今も元気にしておられ(車の運転は止められましたが)
年末にカナダへ送った例の検査本ファイルの原稿に
修正を加えておられます。
検査本電子化に御協力いただいたボランティアの皆様には
お騒がせしたことをお詫びいたします。
また電子化されたファイルの完成までには
もう少しお待ち下さい。


このブログも始めてそろそろ半年になりますが、
肝心の就職希望者はまだ現れず、
この間メールが来たと胸ときめかせたら、
「成人の発達障害勉強会」への問い合わせでした(笑)。
全国の精神科医の皆さん、
十勝はとてもいいところですよー!
今朝の最低気温はマイナス8度でしたけど(笑)。

2011年1月13日木曜日

HOTEL  TAITO

 モール温泉といえば十勝川温泉が有名ですが、実はモール温泉は道内のあちこちにあり、タンチョウで有名な鶴居にもあります。今回はその中の一つHOTEL TAITOを紹介します。
 オーナーはプロの写真家で、タンチョウの写真で有名な方です。ホテルの規模に比べ、お風呂は充実しており、露天の岩風呂の他、男湯には一人用の五右衛門風呂まであります。
 お湯は紅茶色で、PH9.2というアルカリ重曹泉。もちろん源泉かけ流しで極上のツルツル感が味わえます。
 近くには他に2つの温泉がありますが、それぞれ源泉が異なり、こちらも源泉かけ流しです。
 もうすぐタンチョウのシーズンですのでぜひいらしてください。

2011年1月8日土曜日

心理治療を学ぶ

        精神科指定医研修のために今の病院に赴任したのが3年前になるが、発達障がい児者の心の問題を考えている時に、この分野でのオピニオン・リーダーである杉山登志郎先生の文章(発達:2008・10)に出会った。

        「遺伝子によって蓄えられた情報は、環境によって発現の仕方が異なる」「発達障がいの適応を不良にするものは情緒的な問題であり、それを引き起こすのは心理的な外傷体験(トラウマ)である」「発達障がい臨床において、成長の途中で蓄えられてしまったトラウマの治療を積極的に行っていく必要がある」と書かれていた。

        なるほど確かにそうだと腑に落ちた私は、以来、トラウマ治療について積極的に学び始めた。そう決心すると不思議なくらいチャンスが次々と訪れ、「認知行動療法」「EMDR(眼球運動による記憶の脱感作と再処理)」「SE(ソマティック・イクスペリエンス)」「臨床催眠療法(ヒプノティックセラピー)」「催眠療法(ヒプノセラピー)」などを学ぶことができた。

        何事も初めは教えられたことを教えられた通りに実践してみることが大切である。そうすると、それぞれの技法の予想もしない効果や失敗に何度も驚かされることになる。技法の違いがあってもトラウマ治療に底通する技術やマインドに気がつくようになり、ある程度実践して自信がもてるようになるまでは試行錯誤の連続である。

        医師は教科書からの知識以上に患者さんの病気や人間から学ぶことができる。トラウマ治療に限ったことではないが、患者さんの病気を診立て治療する際に、患者から教科書には書かれていないさまざまなことを教えてもらい気づかせてもらい学ばせてもらえる。

        トラウマというのは誰の心にも必ずあるものであり、それほど人間の心というのは奥が深い。日常は忘れていたり、なかなか思い出せなかったり、自分では思い出せもしないトラウマが潜在している。

        心理治療を学ぶ中で、それぞれの技法を通じて講師の先生より自分のトラウマの治療を受ける機会に恵まれ、その癒しも経験できる。そうやってトラウマやトラウマ治療に対しての感受性を磨いていくことになる。心理治療には興味や素質も必要だが、それ以上に練習や経験がものをいう世界である。

        SE治療では「1度の練習で3回は失敗しなさい。失敗から学びなさい」と言われ、催眠療法では「上手な人は練習を何度も繰り返した人、失敗を何度も繰り返して学んだ人」と言われ、ヒプノセラピーでは「失敗だと思うことはあっても失敗はない」と言われた。

        それらの言葉に勇気づけられながら、教えられたことを守りつつ、失敗を恐れずに、いまだほとんど手のつけられていない発達障がい児者のトラウマ治療に向けて努力を重ねている。