病院の中庭です。春には一面タンポポの花が咲きます。当医局が「お花畑」状態という意味ではありません。念のため。

2013年11月3日日曜日

十勝のタンチョウ

ブログ管理担当のまさぞうです。

最近、NHKの「ダーウィンが来た!」でとりあげられ、
地方紙(十勝毎日新聞)でも記事になりましたので、
十勝川下流域にタンチョウを探しに行きました。

比較的大きな道路を車で走っただけですが、
いる、いる。
午後から家を出て、日帰り温泉に行く途中だけでも
全部で23羽のタンチョウに出会いました。


中には餌をあげているのか、
10羽以上の群れも・・・。


このままでいけば数年後には
この地域で普通にタンチョウが飛んでいる姿を
見られるようになるかもしれませんね。

(立ち姿もそうですが、
夫婦・親子で飛んでいる光景は
本当に美しいですよ。)


保護活動に関わっている皆様に
心からの感謝と敬意を表します。

2013年9月12日木曜日

当院の臨床研修プログラム

ブログ管理担当のまさぞうです。

来春から研修医の先生が1名入職されることになりました。
来年度の当院の主な臨床研修プログラムは以下の通りです。

●精神医学全般
UpToDateをテキストに、世界最新の精神医学について学ぶ。
→UpToDateは世界的に定評のあるオンラインの臨床医学データベースです。
各分野の権威が膨大な数の最新論文をフォローし、
それをもとに最新最善の診療指針を提供してくれます。
残念ながら現時点では記事本体の日本語版はなく、
精神科分野のサービスも最近できたばかりのため、
国内の精神科でこれを使って教育を行っているところは
そう多くないと思われます。
もともとはアメリカで作られたツールであり、
推奨されている薬も米国基準です。
このため日本でそのまま適用するのは難しい部分もありますが、
現在の日本の臨床精神医学の流れは、
アメリカから始まったものが何年後かに日本に導入される、
というパターンなので(DSM-5をみれば分かりますね)、
アメリカの最新のスタンダードを勉強しておけば将来必ず役に立つでしょう。

●精神科医のための臨床身体医学
「小テストで学ぶフィジカルアセスメント」
「Dr.ウィリス ベッドサイド診断」などをテキストに、
精神科臨床の現場で必要な内科系臨床診断学の基礎を学ぶ。
→必ずしも検査・処置の設備が充実しているとはいえない精神科医療機関で、
緊急に身体合併症の診断・治療にあたらなければならない場面もあります。
病歴と身体所見をもとにベッドサイドで診断を下し、
必要な初期治療を行う技術を教えられる病院は多くありません。
当院では精神科臨床でよく遭遇する身体疾患に対して
ベッドサイドでどうアプローチすべきか、
その基本を学ぶことができます。

●大人の発達障害治療プログラム
当院では全国に先駆けて
「大人の発達障害入院治療プログラム」を開発・運用しており、
おとなの発達障害の診断と治療について学ぶことができます。

●定期外来尿検査を用いた覚醒剤依存症治療プログラム
臨床現場で治療に難渋する覚醒剤依存症患者に対して、
非専門医でも対応可能とする方法を学べます。

●精神科臨床論文の作成指導
日本語の精神科臨床論文については発表実績があり、指導可能です。
(筆頭著者として東端憲仁、枝雅俊で検索してください。)

常勤医・研修医はまだ募集しております。
よき精神科臨床医になりたいという先生方の御応募をお待ちしております。

2013年9月1日日曜日

夏休み

 8月も終わり、本州では多くの学校で今日が夏休み最後の日で、夏休みの宿題に追われているひとも多いでしょう。しかし北海道ではお盆開けには夏休みが終わって、とっくに学校も始まってますので、そのあたりは高校(+予備校)まで横浜にいた自分としては、今でも感覚的にピンと来ない感じがします。しかしすでに秋の気配がただよい、テレビではスタッドレスタイヤや除雪機のCMが流れているのをみると、夏どころかもう冬がきてしまう感じになり、納得せざるを得ない部分もあります。  医局ではみな時期をずらして夏休みをとっています(公務員なので、7~9月に夏休みが取得できます)。わたしは9月に夏休みをとって、子供を連れて東京方面の旅行を計画中。スカイツリーや、子供がドラえもん大好きなので、川崎にある藤子不二夫ミュージアムなどを検討中。アニメのドラえもんは、自分が見ていた当時とは絵も声も変わっていて、当初はかなりの違和感をおぼえましたが、子供と一緒にみているうちに慣れるもんなんですねえ。ドラえもんの声は大山のぶ代以外にないだろう、と思ってましたが…。 (医局員S)

2013年7月1日月曜日

常勤医募集再開しました

 ブログ管理担当者のまさぞうです。

 当院の医師が1名、ご家庭の事情で退職されたため、
精神科常勤医の募集を再開することになりました。

 退職された先生は1年9ヶ月間の在任期間でしたが、
何とか当院で精神保健指定医の申請に必要な症例を集め、
レポートを書き上げられたそうです。

 北海道十勝といえば、本州の皆さんからは
遠い異国のようなイメージかもしれません。

 しかし実際住んでみれば
「日本のカナダ」のような気候に、
国内最高クラスの食べ物、
また素晴らしい北海道の自然に触れられる、
日本人にとって最高の住環境だと思います。

 御興味をお持ちの方は、当院までご連絡下さい。

2012年12月24日月曜日

がんばれ、寺澤秀一先生!

ブログ管理担当のまさぞうです。

さる11月10日に東京で
「第4回 日本こころとからだの救急学会」
に参加してきました。

これは主にからだの救急医療の関係者の皆さんが集まって、
一般科の救急室を受診する精神科の患者さんにどう対応するか、
ということを勉強している学会です。

まだ比較的新しく、こぢんまりとした集まりですが、
身体の救急関係の有名な先生のお話が聞けるので、
私はほぼ毎回参加させていただいています。

今回のメインは、福井大学医学部教授の
寺澤秀一(てらさわ ひでかず)先生の講義でした。

この先生は「研修医当直御法度」という
若手臨床医の間で非常に有名な本を書かれた方で、
日本の身体科救急医療を従来の高度専門医療中心から
地域医療プライマリケア中心へと方向転換させた立役者です。
能力・学識はもちろん、人格的にも素晴らしく、
私が日本人で最も尊敬するお医者さんの一人です。
(ちなみにこの寺澤先生は沖縄県立中部病院出身で、
かのウィリス大先生のこともよく御存知です。)

寺澤先生は福井県で長年救急医療の最前線に立ってこられた関係で、
原子力発電所の事故が起こった時の救急対応についても造詣が深く、
昨年の福島県での原発事故の時も
頼まれて医療チームの指揮をとられたそうです。
今回の学会講演もこの時の経験に基づくものでした。

寺澤先生の講義はいつものようにユーモアにあふれた語り口でしたが、
内容は驚くべきものでした。
ごくかいつまんでいえば、
「福島の原発事故は、発電所外の陸上における放射線被害に関しては
チェルノブイリとは比較にならないくらい軽微な事象であり、
核放射線による一般住民の健康被害は心配する必要はない。
むしろ心配すべきは誤った政府介入と偏ったマスコミ報道に伴う風評被害と、
周辺自治体の住民・家畜への悪影響である」
というものです。

詳しい事情・根拠については
「福島 嘘と真実 東日本放射線衛生調査からの報告」
著者:高田純、発行:医療科学社
をご覧下さい。
放射線防護学の専門家から見た福島原発事故の評価がわかります。

私自身ショックだったのは、上述の事故の実情もさることながら、
それに対する日本国民の反応があまりに感情的だったことです。

まあ私自身、去年寺澤先生が原発作業員の医療にあたっていると聞いた時には
「すごい勇気だなぁ。決死隊みたいなものだ」
と思っていたのですから、あまり人のことは笑えません。
それでも今、寺澤先生が「福島県民を危険にさらした」と
訴訟を起こされていると聞けば、笑ってばかりもいられません。

寺澤先生は日本有数のすぐれた医療者であり、
その専門的知識と客観的事実をもとに
不眠不休で原発作業員と周辺住民の医療ケアにつくされました。
先生の処置・判断に客観的誤りがあったというならともかく、
「放射能はおそろしい」という感情的理由だけで
福島県民に対する恩人を告訴するとは・・・。

たしかに告発権は国民全般に与えられた権利ですが、
だからといって何でも訴えていいというわけではないでしょう。

裁判で無罪が証明されればそれでいいじゃないか、
という意見もあるかもしれませんが、
その無罪判決に至るまでの時間、労力、精神的ストレスは
誰が埋め合わせてくれるのでしょう?

寺澤先生に1日無駄な仕事をさせれば、
その1日分、日本の医学界(と国民)は損をするのです。
たとえ無罪確定の後、
名誉毀損でわずかな賠償金が得られたとしても、
失われた時間と労力は戻ってきません。

個人の権利を尊重する姿勢も結構ですけれど、
権利を行使するにあたっては
それ相応の節度と良識が求められるはずです。

過去の歴史を見ても、
愚かな民衆が国の英雄を告訴した例はありますが、
日本人のモラルもここまで落ちたかと、
この国の未来に望みを失う感じがしました。

以上、いつものおちゃらけムードとは異なり、
ネットウヨクのようなコメントになってしまいました
でも、がんばれ、寺澤先生!

2012年11月13日火曜日

発達障害ピアサポーター

ブログ管理担当者のまさぞうです。

当院では「おとなの発達障害治療プログラム」として、
発達障害の特徴、発生頻度、診断、治療などについての
連続講義を行っています。

これまでは当院の医師が講師をつとめておりましたが、
このたび、自身も発達障害を有する当事者の方が
ボランティアとして約30分の講義を担当してくれました!









顔を出せないのが残念ですけれども、
当院入院中のイケメン男子です・・・。

海外では障害を有する当事者が、
同じ障害を持つ人たちを援助する、
ピアサポーターとよばれる運動が盛んです。

当院では今後もこういった当事者による
治療への参加・協力をすすめていきます。

発達障害者の抱える本当の苦しみは、
実は当事者にしかわからないのかもしれません。

2012年9月11日火曜日

入院心理治療について

<はじめに>
 平成19年頃より発達障害児者へのトラウマ治療の必要性が指摘され始めたことを受けて、平成20年に道立緑ヶ丘病院に着任して以来、いくつかのトラウマ治療技法を学びながら入院患者の心理治療に力を注いできた。この4年間に児童成人合わせて98名の入院心理治療を医師単独で行い、そのうち27名が自閉症スペクトラム障害(ASD)の患者であった。

<心理治療技法>
・ HP (催眠療法・ヒプノセラピー)
・ EMDR (眼球運動による脱感作と再処理法)
・ SE (ソマティック・エクスピリエンス)
・ CBT (認知行動療法) など
・ 1回のセッションには通常60~90分
・ 通常1週~1カ月の入院期間中に4~15回程度
・ 患者の特性に応じて治療技法を組み合わせた

<結果> (全体)
・ 全体で98名、合計559回のセッション
・ HT(45%)、EMDR(37%)、SE(16%)、CBT(2%)
・ かなり効果あり( 19名/19%)、効果があり( 39名/39%)
・ やや効果あり( 16名/16%)、効果がなし( 24名/24%)

発達障害の有無による違いを検討したところ、平均治療回数と解離性症状に違いがみられた以外、年齢性別や治療効果や技法の頻度などなどに大きな差はなかった。

・ 発達障害児を持つ母親の心理治療:17名(17%)
  17名中の7名が子どもの虐待ケース
・ 敏感すぎる気質(HSP):約50%
・ 気分障害(Dep):約50%
・ アダルトチルドレン(AC):30%
・ 解離性症状:全体で41% (発達障害児者では25%)

<結果>(自閉症スペクトラム障害患者)
・ 全体で27名、合計197回のセッション
・ 精神遅滞あり(5名/19%)、アスペタイプ(14名/52%)
・ かなり効果あり( 6名/22%)、効果があり( 7名/26%)
・ やや効果あり( 8名/30%)、効果なし( 6名/22%)
・ 解離性障害(8名/30%)、アダルト・チルドレン(10名/37%)
・ PTSD(10名/37%)、HSP(15名/56%)
・ 境界性パーソナリティー障害(4名/15%)
・ 統合失調症様状態(1名/4%)
・ 気分障害(13名/48%)、不安障害(11名/41%)

<考察>
・ 発達障害の有無に関係なく、生育上のトラウマを抱えてさまざまな精神症状に悩まされている患者は多く、投薬治療による精神症状の治療だけでは心理面の苦しさや情動面の変動や行動面の激しさを抑えることが難しい。

・ 心理治療とは、治療者との信頼関係のもと、心の扉を開き、普段は意識せずに心の奥に固まったままの未処理なトラウマ(冷凍保存記憶)を取り出して処理(解凍)し、埋もれていた本来の思考・感情・感覚・直感に気づき、新らしい自分に生まれ変わっていくための治療法である。

・ 皮膚外傷が保清と湿潤環境があれば薬なしでも生体の自然治癒力で治せるように、心の傷(トラウマ)も安心と安全が保証される環境において心の自然治癒力で治す(回復する)ことができる。

・ 感染や骨折を伴う深い皮膚外傷が生体の治癒力だけでは治りきらないように、慢性に繰り返される人間関係ストレスによる深い心の傷は自然治癒力では治りきらず心理的治療が必要になることがある。

・ 発達障害児者では、単一焦点や不安・記憶の強さという本人の発達障害特性や親の特性を踏まえての心理治療の工夫が必要となる。

・ 発達障害児者の中でも、不器用で主観的で感覚敏感で記憶がよく自己認識や自己主張が弱いタイプは、そのような発達特性が故に人間関係ストレスにより複雑で深いトラウマを受けやすい。

・ 生来の発達障害特性を持ちながらも、普通に見せよう(させよう、なろう)とする代償や解離メカニズムが働いて、苦しい思いを周囲から理解されず障害に気がつかれずに成長した発達障害児者がいる。

・ 発達を幅広く多面的に観て、高次脳機能の発達障害特性や二次的な精神障害特性に加えて、心理・人格の愛着障害特性をも考慮に入れたトラウマ治療という視点を持つことで発達障害児者の支援を行っていくことが大切である。